農業は食物を作る仕事だが、
何か別のものを、作って来たようだ。
今、時代は人間そのものを問題にしている。
その人間はまず作る生きものである。
私達は、生産活動を行って生活に必要なものを作って来た。
と思っているが、どうも間違いかも知れない。
人はたくさん物を作り、地上は人工物で満ちてきた。
反面、それは必ずしも豊かさに繋がらない事にもなった。
ある時は憎悪が渦巻き、ある時代は戦争で明け暮れた。
その背後には、必ず生産様式の大きな変動があった。
どうも人間の生産活動、そのものの構造に問題があるようだ。
生産、それは激しく反生産を生む。二項対立が生まれる。
つまり、生産活動もまた記号のように、まず差異を作る。
それが、生活そのものを侵害して、すんなりと生活を豊かにしない。
それでも人々は生きてきた。反生産を凌ぎくぐり抜けてきた。
人々は装置をつくり旨く生きてきた。そこで祭り、歌い、踊ってきた。
それが「いなか」だった。